建物解体時のアスベスト調査と対策の基礎知識
建物解体におけるアスベスト問題は、事業者にとって大きな課題です。
近年、法規制の強化も進み、適切な調査と対策が求められています。
アスベストの危険性、調査の手順、対策方法、費用、そして補助金制度など、多くの疑問点があるのではないでしょうか。
今回は、建物解体時のアスベスト調査と対策について、分かりやすく解説します。
解体工事に関わる皆様にとって役立つ情報を提供できれば幸いです。
スムーズな解体工事の実現に向けて、ぜひご一読ください。
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建物解体時のアスベスト調査と対策の基礎知識
アスベストとは何か、その危険性と種類
アスベストは、6種類の繊維状ケイ酸塩鉱物の総称で、「石綿」とも呼ばれます。
かつては建材として広く使用されていましたが、人体への有害性が明らかになり、現在では使用が規制されています。
アスベストを吸い込むと、肺がんや中皮腫などの深刻な呼吸器疾患を発症するリスクが高まります。
種類としては、クリソタイル(白石綿)、アモサイト(茶石綿)、クロシドライト(青石綿)などがあり、それぞれ危険性や発塵性(空気中に飛散しやすさ)が異なります。
特に、吹き付けアスベストは、空気中に飛散しやすいことから、特に危険性が高いとされています。
アスベスト関連法規の解説と改正ポイント
アスベストに関する法規制は、労働安全衛生法、建築基準法、大気汚染防止法、廃棄物の処理及び清掃に関する法律など、複数の法律で規定されています。
近年、規制は強化されており、特に大気汚染防止法の改正により、アスベスト事前調査の結果を電子システムで報告する義務が課せられました。
この報告義務の対象となるのは、解体部分の延べ床面積が80㎡以上の解体工事、および請負代金が税込み100万円以上の建築物の改修工事です。
また、報告義務の対象となる工事の範囲や、調査を行う者の資格要件なども厳しくなっています。
具体的な内容や改正ポイントは、関係省庁のウェブサイトなどで確認することをお勧めします。
建物解体工事におけるアスベスト調査の必要性
建物解体工事において、アスベスト調査は必須です。
事前調査によってアスベストの有無、種類、含有量、そして発塵レベルを把握することで、適切な対策を講じ、作業員の安全と環境保全を確保できます。
アスベスト含有建材の取り扱いには、専門知識と技術が必要であり、法令遵守も不可欠です。
調査を怠ると、法令違反による罰則を受ける可能性があります。
また、作業員や近隣住民への健康被害リスクも高まります。
そのため、解体工事の発注者・施工者ともに、アスベスト調査を適切に行うことが非常に重要です。
建物解体時のアスベスト調査の手順とポイント
事前調査の方法と手順
アスベスト事前調査は、大きく分けて書面調査と現地調査があります。
書面調査では、設計図書や建築当時の資料などを基に、アスベスト含有建材の使用可能性を調べます。
現地調査では、目視検査や試料採取を行い、アスベストの有無を特定します。
試料採取が必要な場合は、専門機関に分析を依頼し、アスベスト含有率を調べます。
含有率が0.1%を超える場合は、アスベスト含有建材として規制の対象となります。
調査結果は、発注者へ書面で報告され、3年間保存する必要があります。
アスベスト含有建材の特定方法
アスベスト含有建材の特定は、建築年代、建材の種類、メーカー、型番などの情報を基に行います。
特に、1970年代から2000年代前半にかけて建築された建物は、アスベストが含まれている可能性が高いです。
吹き付けアスベスト、アスベスト含有断熱材、アスベスト含有成形板などが、特に注意が必要です。
目視検査だけでは判断が難しい場合、専門機関による分析が必要となります。
国土交通省が公開している「石綿(アスベスト)含有建材データベース」も参考になります。
調査結果の報告と必要な書類
アスベスト調査の結果は、発注者に対して書面で報告する必要があります。
また、大気汚染防止法に基づき、解体工事開始の14日前までに、電子システムまたは書面で行政機関への報告が義務付けられています。
報告する際には、調査結果の概要、工事の概要、作業計画など、必要な書類を提出する必要があります。
報告義務の対象となる工事の範囲、提出期限、提出先などは、地域によって異なる場合がありますので、事前に確認が必要です。
電子システムを利用する場合は、事前にアカウント登録が必要となります。
アスベスト対策と費用について
アスベスト含有建材の除去方法と安全対策
アスベスト含有建材の除去は、専門業者に依頼することが重要です。
作業員は、適切な防護服、呼吸器、手袋などを着用し、飛散防止対策を徹底しなければなりません。
除去作業は、湿潤化、真空掃除機、負圧隔離など、発塵レベルに応じて適切な方法で行われます。
除去後のアスベスト廃棄物も、厳格な基準に従って処理する必要があります。
作業手順や安全対策に関するマニュアルを遵守し、作業員の安全確保に万全を期すことが重要です。
アスベスト除去にかかる費用と補助金制度
アスベスト除去費用は、建物の規模、アスベストの種類・量、除去方法などによって大きく異なります。
一般的に、吹き付けアスベストの除去費用は、他のアスベスト含有建材よりも高額になります。
また、除去面積によっても費用は変動します。
国や地方自治体によっては、アスベスト除去工事に対する補助金制度が設けられています。
補助金の対象となる工事や金額、申請方法は、各地方自治体のウェブサイトなどで確認してください。
補助金制度を活用することで、費用負担を軽減できる可能性があります。
業者選びのポイントと注意点
アスベスト除去工事は、専門知識と技術、そして法令遵守が不可欠です。
業者を選ぶ際には、以下の点を考慮することが重要です。
・豊富な工事実績があるか
・適切な資格を持った作業員が在籍しているか
・安全対策が徹底されているか
・見積内容が明確で、追加費用が発生しないか
・適切な廃棄物処理体制が整っているか
まとめ
今回は、建物解体時のアスベスト調査と対策について解説しました。
アスベストは健康被害を引き起こす危険性が高い物質であり、適切な調査と対策が不可欠です。
法規制を遵守し、安全な作業手順と適切な廃棄物処理を行うことが重要です。
アスベスト調査は専門業者に依頼し、補助金制度を活用するなど、費用負担軽減策も検討しましょう。
業者選びは慎重に行い、安全性と信頼性を重視することが大切です。
本記事の情報が、みなさんの建物解体工事の円滑な実施に役立つことを願っています。
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