土地と建物の名義が違うときに建物は解体できる?それぞれのケースについて解説します!
共有名義の不動産は取扱いが難しいです。
例えば、共有名義の建物を取り壊したいと思う方もいらっしゃるでしょう。
このような、土地と建物で名義人が異なる場合、どうすれば良いのでしょうか。
本記事では、土地と建物の名義が違うときに建物を解体できるのか解説します。
建物の所有者が行方不明な場合、判明していない場合に分けて解説しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
□土地と建物の名義が違うときに建物を解体できるのか解説!
土地と建物で名義人が異なる、つまり共有名義の建物を解体するには、共有者全員の同意が必要です。
解体を決意したら、まずは共有者全員に共有している建物の解体について相談しましょう。
共有者が全員同意しない場合は、円滑に解体を進められない恐れがあります。
共有者が亡くなった場合は、その相続人が共有者となるので、相続人にコンタクトをとって賛成してもらわなければなりません。
亡くなった共有者の相続人がわからない場合は、共有名義不動産の登記簿を確認しましょう。
不動産の相続が完了していないのであれば、解体前に不動産の相続をしっかり完了させておいてくださいね。
*土地と建物で所有者が違うケース
所有している土地に、異なる名義の建築物が存在する場合は、勝手に解体することは可能なのでしょうか。
結論から先にお伝えしますと、土地所有者が勝手に建物を解体することはできません。建物の取り壊しができるのは、建物の所有者のみです。
自分の土地に他人の建物があっても、建物の所有者ではないため、確認せずに解体することはできません。
*倒壊する恐れがあるケース
老朽化した建物は、倒壊する恐れがあり、近隣の方にも迷惑がかかってしまいます。
建物が倒壊する危険がある場合に限り、共有者に同意してもらわなくても良いです。
建物の倒壊を防ぐために操作を加えることは「保存行為」であるとみなされるため、共有者全員でなくても解体ができます。
ただ、共有者に連絡をせずに解体するとトラブルに発展する可能性があるため、事前に解体することだけは周知しておいてくださいね。
□建物所有者が行方不明・消息不明の場合の対処法を解説!
「建物の所有者は判明しているけれど、どこにいるのかわからない」
このような場合はどうすれば良いのでしょうか。
建物の所有者はわかっているものの、行方不明であったり、消息不明であったりする場合の対処法について解説します。
まずは民法に基づく手続きからです。
所有者がどこにいるのかがわからない状態でも、誰かがわかっている場合には、裁判所で建物収去土地明け渡し請求訴訟を申し立てましょう。
建物所有者が建物を収去しなくても、土地の所有者が強制的に建物を収去できるようになります。
次は行政代執行手続きについてです。
建物所有者が判明している場合は建築基準法に基づいて行政代執行という手続きを利用できるかもしれません。
これは、違反建築物や危険な建物が建っている場合、行政が指導をして、それでも従わない場合は強制的に撤去できる制度のことです。
建築基準法では、違反建築物や危険な建物については行政が指導を行い、命令に従わない場合には建物を解体できると定められています。
また、行政代執行は空き家対策基本法にも規定されています。
これは近年増加し続けている空き家による悪影響を抑えるために制定されました。
具体的には、空き家の増加によって放火の危険性が高まったり、倒壊の可能性が高まったりします。
空き家対策基本法では、保安・衛生上の問題を抱えている空き家を特定空き家として指定し、所有者に対して改善指導を求めたり、改善するように指令を出したりできます。
所有者が行方不明であったり命令に従わなかったりする場合には、行政が建物を取り壊せます。
老朽化している空き家であれば、建物を所有していなくても、空き家対策基本法に基づいて対処してもらえる可能性がありますので、建物が所在している自治体に相談してみてくださいね。
□建物所有者が完全に不明な場合の対処法を解説!
所有者の住所がわからず、郵送等で連絡を取れない場合「公示送達」という方法があります。
裁判所で主張内容を公開して、公の目にふれる状態にすることで、書面を送ったのと同じ効果が得られる制度です。
これによる判決から強制執行に進み、建物を解体することが可能となります。
最後に、建物が未登記の場合も含め、建物の所有者が全くわからない場合です。
このパターンも行政代執行を求めることができます。まずは自治体への相談をお勧めします。
いずれにせよ、他人の建物を勝手に壊すことはできません。
今の状況をしっかりと把握して適切に対応するようにしてくださいね。
□まとめ
土地と建物の名義が違うときに建物を解体できるのか解説しました。
共有名義の建物は、勝手に取り壊すことはできません。
しかし、建築基準法や空き家対策基本法に従っていなかったり、裁判所で建物収去土地明け渡し請求訴訟を申し立てたりすれば、解体できますので、ぜひ手続きをしてみてくださいね。