解体工事をスムーズに進めるための水道管管理法
建物を解体するには、単に建物を取り壊すだけでなく、さまざまなインフラの管理にも気を配る必要があります。
特に水道管は、私たちの日常生活に欠かせない重要な社会基盤であるため、慎重な取り扱いが求められます。
そこでこの記事では、解体工事における水道管管理の適切な手順と、コスト削減のための方策について説明します。
建物の解体を検討中の方にとって、水道管管理に関する知識は、工事を滞りなく進めるために不可欠な要素となるでしょう。
□解体工事の水道管:本管と引き込み管の適切な取り扱い
解体工事を行う際、水道管の撤去や水道の停止については、いくつかの重要な注意点があります。
地中に埋設されている水道本管は、一般的に個人の所有ではなく、水道局が所有しています。
したがって、解体工事で本管を撤去することは通常ありません。
1: 引き込み管と水道メーターの扱い
本管から各家庭に水を引くための「引き込み管」は、個人の所有物です。
また、引き込み管に接続されている「水道メーター」は、水道局から個人に貸与されています。
解体工事では、建物内の引き込み管は必ず撤去しますが、本管に接続されている引き込み管と水道メーターは、原則としてそのまま残すのが一般的です。
これは、解体後の土地に再び建物を建てる際の再施工の手間やコストを抑えるためです。
2: 解体工事中の散水用水道
解体工事では、粉塵の飛散を防ぐために定期的な散水が必要です。
この散水には敷地内の水道を使用するため、解体工事開始前に水道を停止することはできません。
3: 水道代の費用負担
解体工事中に発生する水道代は、一般的な住宅解体の場合、5,000円から10,000円程度が相場です。
この水道代は、原則として解体業者が負担します。
まれにお客様の負担となるケースもあるため、気になる方は念のため、依頼先の解体業者に確認することをお勧めします。
4: 水道代の精算
解体工事前に水道代を精算しておくと、お客様が生活用水として使用していた分の水道代と支払いを明確に区別できるため、料金をめぐるトラブルを避けることができます。
水道代の精算を行う際は、管轄の水道局に連絡を入れましょう。
5: 解体工事前に水道を停止した場合の課題
解体工事前に水道を停止してしまうと、工事中に敷地内の水道が使用できなくなります。
水道が使えない場合、仮設の貯水タンクを用意するなど、解体現場に水を供給する何らかの方法を手配する必要があります。
その分、解体費用の見積もりが高くなる可能性があります。
□解体工事における水道管の撤去と届出必要性
解体工事では、水道管を撤去するだけでなく、移設や新設が必要になるケースもあります。
これらは追加工事となり、お客様に追加費用が発生する可能性があります。
そうなるとお客様の負担が増え、その他の計画にも影響を及ぼしかねません。
1: 解体工事着工前の手続き
解体工事業者は、お客様の負担を最小限に抑え、工事を円滑に進めるために、以下のような対応を行います。
・水道局への工事申請
解体工事では、通信やガスなどのインフラを停止する連絡は原則としてお客様が行います。
ただし、水道については工事中も使用するため、事前の使用停止の連絡は行いません。
解体工事で使用する水道代の算出方法は、通常の生活用水として使用する場合とは異なるため、業者が水道局に解体工事を行う旨の届け出を行います。
・水道管の配管状況を事前調査
解体工事では、工事現場となる敷地内や隣接する道路の水道管の配管状況を確認します。
お客様が配管図をお持ちの場合は、それを拝見させていただきます。
ただし、図面と実際の配管が異なる場合もあります。
また、配管図がない場合もあります。
その場合、お客様が水道局に「給水装置閲覧申請」を行うことで、止水栓や水道メーターの位置、水道管等の埋設状況がわかる図面の閲覧およびコピーを入手できます。
この手続きは、解体業者が代行することも可能です。
図面上の確認だけでなく、試掘等を行って実際の水道管の位置を図面と照合します。
2: 解体工事後の手続き
解体工事が完了したら、水道局に連絡して水道の閉栓を行います。
これは、基本的には水道メーター近くにある引き込み管の根元部分の元栓で閉栓します。
ただし、寒冷地や区画整理に伴う解体工事の場合は、本管で閉栓します。
その場合、本管が埋設されている道路面のアスファルトを剥がす大掛かりな工事となり、追加費用が必要になります。
これはお客様にご負担いただくことになるため、水道の閉栓方法については事前に確認を行い、できるだけ見積もりに組み込めるようにしておきます。
3: 水道管撤去に関するお客様の直接手続き
水道管撤去に関して、お客様が直接何らかの手続きを行う必要が生じる場合があります。
例えば、水道管を撤去する際に、水道局の許可が必要となるケースがあります。
水道管の撤去や移設、新設など、水道管に関する工事を行う場合は、必ず水道局に届け出を行い、必要な許可を得るようにしましょう。
□解体工事前の水道停止が招く問題と対策
解体工事前に水道を解約停止すると、近隣とのトラブルが発生したり、追加費用が発生したりする可能性があります。
1: 近隣トラブルの可能性
一部の解体業者は、現場の水道が利用できないことを理由に散水を怠ることがあります。
現場の清掃が不十分だったり、砂埃が舞ったりすると、近隣住民とのトラブルが起こる可能性があります。
また、貯水タンクなどの準備が不足している場合、近隣の水道を無断で使用することも考えられます。
このような不適切な行動は、業者だけでなくお客様自身の信用を損なう可能性があります。
近隣トラブルを避けるためには、信頼できる業者を選び、解体工事前に水道を停止する際は、ガスや電気と同様に注意深く行動することが重要です。
2: スケジュールの延伸
当日水道が使えないとなれば、業者側も作業を行うことが困難になります。
近隣への迷惑を考えると、別の日に改めて工事を行うことになるかもしれません。
業者も工事のスケジュールで埋まっている場合、工期が延びる可能性が十分にあります。
□まとめ
本記事では、解体工事における水道管管理の適切な手順と、コスト削減のための方策について説明しました。
解体工事を行う場合、水道管の撤去や水道の停止については事前に注意事項について確認してから行うことをおすすめします。
また、解体前と解体後に必要な手続きもいくつかあるため、事前に確認してスムーズに解体工事を済ませましょう。