解体工事での注意点とは?流れも含めて解説します!
解体工事を考えるうえで「解体工事はどのような流れで行われるのだろうか」、「解体工事を始める前にすべきことはなんだろう」、「どのような注意点があるのだろうか」など、疑問も出てくるでしょう。
そこで今回は、解体工事を依頼した際の流れや注意点について紹介します。
□解体工事の流れとは
ここでは、大まかに解体工事の全体像を契約前、解体工事着工前、工事中の作業に分けて説明します。
契約前の解説になりますが、まずは解体業者へ見積の依頼をして現地調査を行ってもらいます。
解体工事の専門家が現地の状況を把握し、正しい見積書を提示するために現地調査を行います。
現地調査では、解体金額の査定をはじめ「残す物があるのか、どこからどこまでを撤去するのか」「木造か鉄骨造か、養生はどの程度必要なのか」「敷地内の境界点の確認、現場までの重機やトラックの搬入出経路の確認」などを調査します。
他にも、近隣環境や隣地との距離なども調査し、工事を行うことで影響がないのかも解体業者でチェックします。
ここでのポイントは、できるだけ現場調査には依頼者本人が立ち会うと良いでしょう。後述の見積書の提示の際、より業者への信憑性が増します。また、昔は使っていた浄化槽や井戸が、今では目につかないよう埋められている場合などは現場で位置や規模などを共有すると良いです。後々の追加請求を避ける事ができます。
他にも、敷地内でも撤去する予定ではないもの(例:植木・カーポート・ブロック塀など)があれば立ち会い時に業者へ必ず伝えてください。口頭で説明するより、現地で細かく伝えた方がより確実です。
業者が現場調査に要する時間は業者によってバラつきがありますが、おおよそ30分から1時間程度です。中には10分程度で終わらせる業者もあります。
当然、早く終わらせる業者の方が手馴れている感じもあり、依頼者も多くの時間を割かずに済みます。ですが、早ければ良いという事では決してありません。隅々まで確認していたのか、現場の写真を何枚も撮っていたのかなど、現場で業者がどのような動き方をしていたかを覚えておくと良いでしょう。
また、見積の依頼は1社だけではなく何社か相見積もりを取ることもオススメです。金額の比較はもちろんの事、対応の違いなども比較することでより安心できる業者を選定することができます。
間もなくして、解体業者から見積書の提示があります。
現地調査から見積の提示があるまでの時間も解体業者によって様々です。現場調査のその場で金額を提示する業者もあれば、現地調査後から1週間程時間かかる業者など。
もちろん、早めに見積を作成してくれる業者の方が好印象ではありますが、ここで注意。
ズバリ、重要なのは見積書の内容・中身です。
一般的に見積書は、より詳細なものほど良いと言われます。現場調査で業者が把握した現場の状況が、どこまで事細かに反映されているかを確認するようにしましょう。
例えば「木材 10t」「コンクリート 20㎥」などといったように、数量などが具体的に明記されている見積であれば、追加費用の発生には繋がりにくいと考えられます。
逆に、見積の項目のほとんどが「○○工事 一式」といった感じでまとめられている業者などは要注意です。「一式」という表記は、つまりは数量を見極められていないという意味でも取れます。もちろんそのような業者でも専門家には違いありませんので、おおよその予測を立てた上で金額を提示してはいますが、業者が想定した以上の作業量・撤去処分量があった場合には追加費用の発生に繋がりかねません。
見積内容がシンプルで、金額も他社に比べて安かったので依頼したのに、工事が始まった後で追加費用がかかって結果的に他社の金額より高くなってしまった…というのはよくあるケースです。
ここでのポイントですが、先述した現場調査時の業者の動きを振り返り、その時の様子と作成された見積書と照らし合わせてみるとより業者の信頼感が測れることでしょう。
例えば、現場調査に1時間程度かかった業者でも、隅々までしっかりと確認していた様子が見られたら、他社にはない見積の項目欄があったとしても信憑性が感じられます。
逆に、現場調査が10分程度で終わって、おおまかな確認しかしていなかった業者から、他社にはない見積の項目欄があったとすれば「本当に大丈夫かなぁ?」と、心配になってしまいます。
レスポンスの速さイコール良い業者、とは一概に言い切れません。重要なのは、間違いのない確実な業者を選ぶ事です。
また、見積の内容で分からない項目があった場合には、しっかりと納得できるまで業者に質問してみると良いでしょう。
提示された見積に納得したら、契約に進みます。
契約時に確認すべきポイントは、契約書もしくは注文書に記載された特記事項の確認です。
特記事項にはすでに担当から説明されていた内容が書いてあったりもしますが、追加費用の事であったり、不測の事態が発生した際の業者の対応なども明記されています。
ここでご理解していただきたいのが、解体工事は「やってみて初めて発覚した」という事が非常によくある工事という事です。
例えば、家の基礎部分を撤去する際には地中を掘り起こしますが、その地中を掘り起こすのは何十年ぶりで、今回解体する家が建つ前の状況を誰も知らない中で掘り起こす事もあります。
そして工事を進めてみると、地中から昔の屋根瓦やレンガやコンクリート、当時埋められた生活廃材品などが出てきて、そのまま残しておくと次の建築工事に影響がでるので撤去しなければならないが、しかし撤去費用はどうなるか?…といったケースは非常に多いです。
このように、事前に確認しようがない不測の事態が起こった際の業者の対応法や費用についてなど、契約書もしくは注文書などに明記されているか必ず確認するようにしてください。書面上での確認はもちろんの事、こういった場合にどうなるか担当者と事前の打ち合わせもしっかりとしておくと安心して任せられます。
契約金の支払うタイミングについても確認しておきましょう。
契約金は、工事前に着手金として金額の10パーセントほどを支払い残金は完工時に支払う業者、着手金が50パーセントの業者、工事完了後に100パーセントの業者など様々です。工事完了後の支払いの場合でも、工事完了から1か月以内の支払いだったり、1週間以内の支払いだったりとこちらも様々。
解体工事の費用は決して小さくはない金額になるので、契約前にしっかりと確認しておきましょう。
また、こちらは依頼者にもよりますが、日程の確認・解体日指定の有無・引っ越しの予定などがあれば必ず契約時に伝えるようにしてください。
解体後に家を建てる方であれば、建築メーカーとおおよそのスケジュールは相談してある事がほとんどです。解体業者にも日程の共有と、いつまでに解体工事は終わらせなければいけないかを共有してください。
解体場所からの引っ越しを予定されている方は、現場調査の段階と解体工事を行う段階で建物内残置物の増加、敷地内解体物の変更などがあるかもしれません。引っ越しが終わる頃に改めて打ち合わせを行い、お互いに共通の認識でいれるようにしましょう。
また、解体工事で発生する廃棄物の処理方法は事前に確認し、必要に応じてマニフェストの写しをもらうことが可能かも確認すべきです。
マニフェストとは、廃棄物がどこの事業者を経て、最終的にどこの事業者(処分場)で処分されたかの過程を記録する管理票の事です。
解体で発生する廃棄物は、産業廃棄物になります。自社で産業廃棄物を処分できる許可がない場合、解体業者は別の専門業者に委託します。
その場合は、マニフェストと呼ばれる産業廃棄物管理票を発行する義務があります。
特に依頼者が空き家などの解体補助金を申請している場合、補助金の認可を受ける為にマニフェストの提出を求められる場合が多いです。
適切に廃棄物を処理している業者なのか確認する為にも、工事完了後のマニフェストの発行は可能なのか確認しておきましょう。
続いて、解体工事着工前について解説します。
契約が完了した後で、着工までに行わなければならないポイントは大きく分けて3つです。
1つ目は、行政等への書類の提出になります。
一般的な家屋の解体工事で多いのは、建設リサイクル法の届出(解体着工7日前)、特定建設作業の実施届出(解体着工7日前)、道路使用の許可申請(管轄警察署により提出期限の違いあり)などです。
どれも聞き馴染みのない届や申請ですが、これらは解体業者で提出の代行が可能となります。もちろん現場によっては申請の必要がないものもありますが、然るべき現場でこれらの申請がされてない場合、工事の中断・その他の罰則もあり得ます。解体業者と事前に提出すべき書類の確認と、代行して申請してもらう場合に必要な委任状などの確認をしておくとより確実に工事を進められます。
2つ目は、近隣挨拶です。
最近では解体業者が近隣へ挨拶する場合が増えていますが、近隣挨拶対応費として別途費用が発生する業者もあります。費用がかかるのか、無償で行われるのか、こちらも事前の確認をおすすめします。
また、可能であれば依頼者も同行すると良いでしょう。今後の近隣住民からのイメージアップにも繋がりますし、解体工事中の騒音・振動などにもよりご理解・ご協力いただけるかもしれません。
近隣挨拶の重要性については、他のページでも解説していますので是非そちらもご覧ください。
3つ目に、ライフラインの撤去依頼です。
主な手配は以下の通り。
・電柱から解体家屋への電気の引き込み線・電気メーターの撤去
・電柱から解体家屋への電話配線・インターネット配線・ケーブルテレビ配線の撤去
・水道の閉栓(後に解体業者で開栓し、工事中の散水で使用するケースが多いです)
・都市ガスであれば解体家屋への引き込み配管の切断・ガスメーターの撤去。プロパンガスであればプロパンとガスメーターの撤去
どれも手配が忘れたまま工事に入ってしまうと、万が一の場合には近隣住民への被害が発生しかねないものばかりです。解体業者と事前に打ち合わせ、解体工事開始前に必ず手配するようにしましょう。
次に、解体工事中の作業について解説します。
作業の工程として、まずは室内に残された不要物・残置物、サッシ・ガラス・畳、内装材などの撤去を手作業で行います。解体工事から排出される廃材は、細かく分別処分する義務があるので作業序盤は手作業がほとんどです。基本的に重機での取壊し作業は廃材の分別が全て終わり、家屋が木材・鉄骨のみになってからになります。
室内の撤去と並行して、室外では周囲への埃の飛散・騒音防止対策としての足場養生の設置作業が行われていきます。粉塵の飛散・騒音・瓦やコンクリートの破片などで周囲の家に損害を与えてしまう事などのリスクを最小限に抑える為、基本的には着工してすぐに設置されます。
また、現場の状況にもよりますが、例えばブロック塀や庭木などによって解体する重機の搬入が出来ない場所であれば、それらを撤去して作業スペースを確保するための段取りも必要です。
室内の撤去作業・養生設置が完了したら、屋根瓦の手おろし作業が行われます。屋根瓦を取り外す際、瓦の裏に敷かれた土埃が飛散してしまうので足場養生シートの設置後に作業を行います。
次に機械による解体、木材等の搬出です。
ここまでの作業は手作業がメインでしたが、ここからようやく重機を使用しての解体作業となります。
重機を使用しての解体とは言え、撤去する木材に内装材など余分な廃材も一緒に撤去してしまわないよう作業員は注意を払います。木材は木材のみ、コンクリートはコンクリートのみ、終始分別には気を配って解体工事は行われています。
家屋の軸組・骨組を取り壊し、木材の搬出を終えると、次は建物を支えていた基礎コンクリートの撤去に移ります。
最後に、敷地内の整地・お引渡しです。更地になった敷地を機械で整地し、依頼者に現場の確認をしていただいた後、解体工事は完了です。また、足場養生をはじめ工事で使用した機材も全て撤去し、工事の為に汚れてしまった道路の清掃もし、キレイな状態にして現場を後にします。
□まとめ
今回は、解体工事完了までの流れや注意点について紹介しました。
解体工事についてご不明な点等ございましたら、ぜひ弊社にご相談くださいませ。